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『阿Q正伝』 魯迅 ◎6/150

『阿Q正伝』/魯迅/岩波文庫
2012/5/26読了。

魯迅の、中国への深い愛情が感じられる。強い思いによって書かれたものだから、今でも読まれ続けているのだろうな。この作品なら映画にしても面白いかもしれないと思う。時代背景を精密に描けるのであれば、価値ある映画になるであろう。1982年に一応映画化はされているようだが、噂は聞かぬ、どんなものなんだろう。

『蒲団』 田山花袋 ◎5/150

『蒲団』/田山花袋/岩波文庫
2012/5/11読了。

これも本棚にあったけど俺の本じゃないから借りて読んだ。
基本的にはおやじの内なる恋のおはなしであるから、読んでいてあまり気持ちの良いものじゃない。外面と内面のバランスが、まあ、面白いけれども。
取り立てて素晴らしい作品という気はしないが、当時としては強い影響力をもった作品だったのだろうなあ。
良くも悪くも、これ以降、私小説が多く書かれるようになっていった切欠の作品ではあるらしい。

『パルムの僧院』 スタンダール ◎4/150

『パルムの僧院』/スタンダール/新潮文庫
2012/4/27読了。

ここらでひとつ長編を、ってことでパルム。
これも本棚にあって、これは前に一度読んだとき、タイミングが悪かったこともあって途中で挫折してしまった。今回はちゃんと最後まで読んだ。改めて読んでみると、前に読んだときとはだいぶ印象が違ったが、長いという印象はかわらない。
まあ、面白い小説だけどなあ。

『小僧の神様』 志賀直哉 ◎3/150

『小僧の神様』/志賀直哉/岩波文庫
2012/3/26読了。

これも本棚にあったのだけれども、俺の本じゃないから借りて読んだ。
恥ずかしながら志賀直哉を読んだのはこれがはじめて。なんとなく読み辛い作品を書く人という先入観をもっていたのだけど、全然違った。
読み終えて鳥肌が立った。なんだこの感じ? 些細なことではあるけれど、ちょっと奇妙な物語。これに似たような事例はたくさんあるかもしれんけど、素材のバランスが良いのかなあ。小僧とすし屋という組み合わせも絶妙なのだろう。
祖語について考えている。

『春琴抄』 谷崎潤一郎 ◎2/150

『春琴書』/谷崎潤一郎/新潮文庫
2012/3/25読了。

これも本棚にあったから、再読、というか再々読か再々々読か。
これもすばらしい作品だなあ。孤高であろう。
句読点も、会話も、細かな描写も少ない、淡々としているが極めて濃密な文章で、複雑な関係性を見事に描いている。
谷崎さんはすごいなあ。